2010年3月21日日曜日

開花状況

前回の観察から3日ほど寒い日が続きましたがその後は暖かく、1週間後の3月16日では開花がすすんでいることが感じられました。サクラ属の園内全体に多いベニバスモモ、花の美術館庭園のスモモ‘サンタローザ’は5~7分咲き、同園の‘啓翁桜’は満開、百華園「木花の園」の‘オカメ’はほぼ終わり、同園の‘陽光’は満開でした。中国の庭園では中国産のウンナンソケイ(モクセイ科)、ハナカイドウ(バラ科、リンゴ属)が満開でした。百華園「果の園」ではスモモ‘ソルダム’、ユスラウメは2分咲き、箒性(枝は広がらずにホウキ状に上に伸び、花は上向きに咲く性質)のハナモモやモモ‘ちよひめ’、アーモンド、アンズ‘平和’などが咲き始めていました。他のモモの品種は開花寸前です。北海道に自生し果樹となったハスカップ(スイカズラ科、アイヌの植物名でしょうか?和名はクロミノウグイスカグラ、赤い果実のウグイスカグラは近在の山林に自生)は近在での栽培は珍しく、先週に引き続き開花していました。園内ではそのほかボケ(バラ科)、ヒュウガミズキ(マンサク科)、ミツマタ(ジンチョウゲ科)、ゲンカイツツジ?(交雑種?)、レンギョウ(モクセイ科)、ハクモクレン?(シモクレンとハクモクレンの雑種であるニシキモクレンの品種でしょうか?)などが開花していました。また、オオシマザクラやヒガンザクラ系の早咲きとおもわれる数株がちらほら開花し、トキワマンサクも開花し始めていました。コブシ、サクラ‘染井吉野’の蕾も大きく膨らんでおり、明日にも開花するほどでした。ケニアの庭園ではラベルがなくて分からないのですが、モクレン科のMichelia(オガタマノキ属)の1種でしょうか?先週に続き直径20cmほどの白い花が開花していましたが、もう終わりです。落葉樹の芽だしも始まり、ヤナギ類はいち早く緑色が目立ち始めました。

 先週、サクラ‘陽光’の片親は‘アマギヨシノ’と示しました。三島市の遺伝学研究所で、‘染井吉野’がエドヒガンとオオシマザクラからなる雑種説を実証するための研究からできた品種で、‘天城吉野’は♀エドヒガン×♂オオシマザクラ、‘伊豆吉野’は♀オオシマザクラ×♂エドヒガン、ちょうど♂♀逆の交雑でできた品種です。近在では両品種とも浜松フラワーパークで見られます。共に花色は‘染井吉野’とは違い、白色です。

2010年3月11日木曜日

開花状況

3月9日の観察は雨が降り、風が強く寒い日でした。当地では2月中旬まで寒い日が続き、下旬から急に暖かくなって本日の観察まで暖かい日が続き、そのためか前回の観察より2週間ほどの間に2月中旬頃から3月中旬に咲き始める種や品種がいっせいに咲き始めました。ギンヨウアカシアは満開、きらめきタワーの北やイタリア、オーストラリア庭園の周辺に植栽されています。さざなみ橋の北東にこの枝垂れ性品種の高接ぎした2株があり、ラベルでは‘ロブストラータ’となっていました。開花し始めでした。








そのほか植栽本数は少ないのですがアセビ、トサミズキ、ミツマタ、ゲンカイツツジ、シャクナゲモドキなどが開花、ヤナギ類は開花と共に花より芽だしが目立ちました。芽だしといえばヤマモミジやシデ類など他の落葉樹の一部でも見られました。サクラ類は、百華園「木花の園」に各1株ずつある‘河津桜’(カンヒザクラ×オオシマザクラ?)はすでに葉桜、‘伊豆多賀赤’(カンヒザクラ×オオシマザクラ?)は開花終わりごろ、‘修善寺寒桜’(カンヒザクラ×オオシマザクラ?)は満開、‘オカメ’(カンヒザクラ×マメザクラ)は開花始め、‘陽光’(アマギヨシノ×カンヒザクラ)は開花寸前、「花の美術館」の庭園にある‘啓翁桜’(シナミザクラ×カンヒザクラ)は3分咲き、スモモ‘サンタローザ’は開花寸前、園内各地に多数植えられているベニバスモモは咲き始めから1分咲きの様子でした。









サクラ(Prunus)属の見分けは①果実の縦の凹みあり、側芽1の果無毛がスモモ、プルーン、果有毛がアンズ、ウメ、側芽3、果有毛がモモ、②果実の縦の凹みなし、総状花序12花以上、常緑がバクチノキ、落葉がウワズミザクラ、散形花序1花または少数、柄短がユスラウメ、柄長、花弁先端円形がセイヨウミザクラ(サクランボ)、花弁先端凹むがサクラ類です。

サクラ品種に交雑した関係を()内に示しました。チュウゴクミザクラは中国長江上流の山中に野生するカラミザクラからできた栽培種で、暖地で栽培されるサクランボです。日本に産するサクラは6群に分類され、その特徴:各種の分布を下記に示します。

①ヤマザクラ群:高木、蕚筒は円筒形で基部が次第に細くなり無毛、蜜線は葉柄の上部

 1 ヤマザクラ             :本州、四国、九州、済州島

 2 オオヤマザクラ(別名ベニヤマザクラ、エゾヤマザクラ):山陰、北陸~サハリン,朝鮮半島北部

 3 オオシマザクラ           :伊豆・三浦・房総半島、伊豆七島

 4 カスミザクラ            :北海道、四国、朝鮮、中国北部

②エドヒガン群:高木で樹齢長、早咲きで花はやや小、蕚筒は壷状、蜜線は葉身の基部

 5 エドヒガン(別名アズマヒガン、ウバヒガン) :本州、四国、九州、済州島

③マメザクラ群:低木、葉と花は小形、

 6 マメザクラ(変種キンキマメザクラ)    :富士山麓、箱根(近畿、中国地方)

 7 ミネザクラ             :本州中北部山地、北海道

④チョウジザクラ群:低木3~6mの株立ち、丁子咲き、葉の表裏や蕚筒に毛が多い

 8 チョウジザクラ           :本州、四国

⑤ミヤマザクラ群:小高木4~10mで深山に生える、花は純白

 9 ミヤマザクラ        :日本の深山、サハリン、沿海州、朝鮮、中国東北部

⑥カンヒザクラ群:小高木5~7m、早咲きで花は下垂する

10 カンヒザクラ            :中国南部、台湾、沖縄

2010年3月4日木曜日

見頃の花木 ~ ロウバイ



落葉樹林下に植栽された球根・宿根草類も咲き始めました。百華園出口付近で「水面の庭」東側ではこれまでクリスマスローズが主体でしたが、スイセンやスノードロップ、アネモネなどが開花し始め、ムスカリもありこの後にすぐ咲くでしょう。この場所はもっとこのような落葉期に成長し緑陰期に休眠、あるいは花が咲くような種類を、またその数量などを増やすとよいでしょう。「花の美術館」の落葉樹下ではアヤメ科のクロッカス(Crocus)の数種、その他が咲き、種類・数量も多く美しいです。花木類は先週の観察とほとんど変わらず、早咲きのサクラやウメ、ツバキ類の開花が進んだ程度です。‘河津桜’は1分咲きぐらいになりました。ロウバイの植栽には気が付かなくて報告できませんでしたが、百華園の「枝の庭」にソシンロウバイ(素心蝋梅)があり、満開でした。我が家では12月から咲き始めてもう花はありませんので、遅咲きのようです。

ロウバイ(Chimonanthus praecox)はロウバイ科に分類され、中国中南部原産で寒さには弱く、栽培は温暖な地が適します。樹高2~4mになる落葉低木で、花は12~2月に咲き、径約2cm、芳香があります。花弁は黄色で、内側ほど短くて紫褐色ですが、すべての花弁が黄色であるのがソシンロウバイ(C. praecoxConcolor’)です。中国ではそのほかに花や葉の大小があって、区別しているようです。

静岡県は花卉生産が盛んです。なかでも当地・遠州西部の切り枝生産額は全国一であり、その紹介の目的で「枝の庭」が造られたのでしょうから参考になります。引佐地区は山間地で温暖でありながら夜間の気温が下がり、特に温暖地に生育するオセアニアの植物はワックス質の色がきれいに発現して品質が良いことで、また湖西市ではコデマリをミカン園斜面の土留めのために植えたことから生産され始めて全国一、共に特色ある生産で知られています。

2010年2月19日金曜日

見頃の花木 ~ 河津桜ほか

津桜
サンカクバアカシア

寒い冬でも開花する花があり、植物は正確に時期を示します。しかし、今年は寒い日が続くためか開花は全般的に遅いようです。先に報告した‘桜’株もとに落下した花弁が見られますがまだまだ満開状態で、‘津桜’少し開花数が多くなった程度です。サンカクバアカシアは満開で、ギンヨウアカシアは寒風を避けた南面でしかも樹冠の内側がほんの少し咲き始めました。花木園のウメや洋種ツバキの品種ももう半数は咲き始めていますが、ウメはアンズ性の遅咲きの品種はまだ開花にいたらず、ツバキは白い花弁が寒さで茶色に変色しています。ゴクラクチョウカは多数植栽されており、沖縄では周年開花しているようですが、寒さで一時休んでいたようでやっと開花数が多くなってきました。

ツバキ 「エメット・バーンズ」


バショウ科ストレリチア(Strelitzia属のゴクラクチョウカ(極楽鳥花 S. reginae)は南アフリカ原産です。ハウスで栽培された切り花が花屋にならびますが、戸外での栽培はハーディネスゾーン10a(平均年最低気温1.7~-1.1℃)で、当地が北限になるでしょう。ある植物図鑑によると「草丈は~2m」となっており、鑑賞には2m上にある花では位置が高すぎます。園内植栽されている個体はいずれも1mまたはそれ以下で、花は目線やそれから下の位置で見られます。これは昨年に紹介したとおり、昭和40年代に静岡県農業試験場の当時の伊豆有用植物園で改良して普及した草丈の低い系統でしょう

ストレリチア

ユンケア(S. reginae var. junceaは葉がなく葉柄のまま棒状になっているか先端にごくわずかの葉が付いている変種です。これも園内に植栽されており、鑑賞には花が葉に隠れなくて良いのですが、基本種より花が少ないようです。オウギバショウモドキ(シロゴクラクチョウカ S. augustaまたはS. alba)は白花で高さ10mにもなります。花の観賞ではなく室内を飾る大型観葉植物の鉢物として市販されています。同じ南アフリカ原産ですので戸外での栽培は可能と思われ、園内に植栽してないので熱帯・亜熱帯を想像させる修景用として試してみるとよいでしょう。これらストレリチア属の根は多肉状に太くなります。鉢植えの場合、植え替えや鉢増しなどの際に株が抜けなくなってしまい、鉢をつぶさなければなりません。そのまま置くと自根で陶製の鉢はもちろんプラスチック製の鉢をも割ってしまうことになります。属が異なるラヴェナラ(Ravenala)属のオウギバショウ(扇芭蕉、またはタビビトノキ・旅人の木 R. madagascariensis)はマダガスカル原産で高さは20mにもなります。バナナ様の大きな葉が扇のように開いていることと、幹を囲む葉柄に水を溜めて乾燥地の旅人の渇きをいやしたと言うような二通りの和名になっています。前種同様の目的で実生した苗の鉢物が市販されています。これも10aですので全種同様に戸外での栽培を試してみるとよいでしょう。後述の2種はバナナと同じように葉が強風で裂けやすく、その程度も観察したいものです。

2010年2月16日火曜日

見頃の花木 ~ 河津桜、サンカクバアカシア
















はや
2月も中旬、園内では花木園のウメの半数は咲き始めています。この時期に咲く花木ではカワヅザクラ(‘河津桜’)、サンカクバ(三角葉)アカシアが目立ちました。もちろん前回紹介したカンザクラ(寒桜)はほぼ満開です。

‘河津桜’は園内に3本が植栽されています。各株10花以上咲いていますので、開花を宣言できます。この品種が発生した河津町や近在の南伊豆町での開花は1月のうちに報道されています。河津町の飯田さんが品種不明のサクラの下に生育していた約5年生の苗木を1955年頃自宅の庭に定植したそうで、1966年から開花したという新しい品種です。この原木は樹形が良く、道路から見られるので多くの観桜客が群がっています。静岡県の農業試験場で繁殖した苗を配布したためか浜松市内でも開花にいたった若い小木が所々で見られます。この品種はカンヒザクラとオオシマザクラの早生系との自然交雑によってできた品種と推察されています。花はカンヒザクラの花色の紅色が強くて、オオシマザクラに似て大輪であり、早咲きで寒い時期に咲くためか1ケ月から40日と開花期間が長いなどが特徴です。樹形は枝が不定に張るので10年生頃まで枝を管理して樹形を整える必要があります。










マメ科、アカシア(Acacia)属には約600種あり、主に南半球の熱帯、亜熱帯に広く分布、とくにオーストラリアに多種が分布しています。園内には数種植栽されています。サンカクバアカシア(A. cultriformis)はオーストラリア東部原産、樹高2~3mの低木です。小苗のとき葉は豆類のようにいくつかの小葉から成るのですが成長と共になくなって、葉のように見えるのは仮葉といいます。これが三角形状で先端は鋭先、1~2cm、灰緑色です。オーストラリアの庭園近くに植栽されており、ほぼ満開状態です。近くにギンヨウ(銀葉)アカシア(A. baileyana)も植栽されていますが、開花していません。もうすぐに開花するでしょう。アカシア類は花が黄色で目立ち好まれる花木です。成長がはやく、強風で倒れたり枝や幹が折れやすいので、大木になる種の栽培には注意したいものです。また、剪定した枝葉は油性分が多いためか、焼却する際には火勢が爆発的に強くなって燃え上がりますので注意しましょう。